●加害者は刑事上の責任のほか民事上でも責任を追及されることになります。被害者は民法の不法行為規定(民法709条・710条)に基づき、慰謝料を請求することができます。
(不法行為による損害賠償)
民法第709条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
(財産以外の損害の賠償)
民法第710条 他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれかであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。
●単発の痴漢・セクハラ等の強制わいせつ(又は準強制わいせつ)については、加害者が謝罪の意思を示し、被害者が和解に応じる場合は、慰謝料額については30〜50万円位の分布が多く、100万円以下で話しをつけるケースが目立ちます。
●行為自体は軽い痴漢のような程度のものでも、告訴を取り下げてもらいたい一心で、高額な金額での示談となるケースもあります。
●少女に対する悪質な強制わいせつや医療者が患者に対して行った強制わいせつ、殴って怪我を負わせた上での強制わいせつ(強制わいせつ致傷)、強姦、強姦致傷、集団暴行などは、一般的に高額になります(100〜300万円以上)。
●慰謝料の請求も口頭でするより、行政書士等の専門家に依頼して内容証明郵便で請求したほうが効果が高いと言えます。
●条例によって程度は異なりますが、罰金や懲役刑などが科されます。一般的には、常習犯は懲役刑を受ける場合もありますが、初犯であれば罰金ですむという場合が多いようです。
●東京都の条例によると、初犯であれば6月以下の懲役又は50万円以下の罰金が科され、常習犯であれば1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科されることになっています。
公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(東京都)
(強制わいせつ)
刑法第176条 13歳以上の男女に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の男女に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

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●被害者に対して、加害者からの示談の申入れがある場合があります。示談とは、一般的に、裁判外での加害者と被害者との話し合いによる解決のことを言います。契約の一種で、その契約内容を書面化したものが示談書(和解契約書)です。
●加害者が自らの行った痴漢行為を深く反省し、被害者に対して医療費等の経済的損害や慰謝料を支払うことを約束する代わりに、被害者は、この示談によって苦痛が軽減されたということで、起訴前であれば被害届や告訴状を取り下げたり、すでに起訴されたあとであれば取り下げることができないので処罰を軽減するよう寛大な処分を求める旨の上申書を提出したりすることになります。示談が成立すると不起訴になるか、処罰が軽減されます。
●示談に応じるか否かは、被害者が自らの意思で決めることができます。加害者の反省と謝罪が真摯なもので、これを受けたことにより精神的な苦痛が緩和され許すことができるという場合には示談に応ずれば良いでしょう。
●示談は後でトラブルにならないよう必ず書面にし、履行の担保を付けておくことが大切です。また、できるだけ一括払いにさせるのが良いでしょう。加害者の中には示談が成立して告訴を取り下げてもらったとたんに示談金(慰謝料)等を払わなくなる者もいます。ですから、示談後のトラブルを防ぐ意味でも示談書の作成や調印は専門家に任せた方が良いでしょう。
●適切な示談書を作るために専門家に依頼するということも考えられます。特に加害者と会いたくない場合や、示談書に住所などを記載したくない場合などは行政書士に依頼するとよいでしょう。行政書士が代理人として示談書を作成します。
●通常は、都道府県の迷惑防止条例(公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例)で取り締まりを受けます。加害者に対する処罰や被害対象は、各自治体の条例によって若干異なっています。近年、痴漢に対する罰則は厳格化される傾向にあり、罰金が重く課さることになったり初犯でも懲役刑になるように定めたりするところが増えてきているようです。
●いわゆる「のぞき」は、強制わいせつ罪には該当しませんが、しかし、軽犯罪法違反や迷惑防止条例違反には該当します。ですから、のぞきをして逮捕されれば、処罰される可能性は十分あります。
●痴漢行為にもいろいろな種類があります。中には、自慰行為を見せるという痴漢もありますが、性器を露出すれば公然猥褻罪、精液をバッグ等にかけられた場合は器物損壊罪に該当します。
●痴漢という言葉は法律上の概念ではないのですが、「公共の場所で相手を著しく羞恥させるような卑猥な言動一般」のことを言います。つまり、公共の場所とはいえないような場所、例えば、ホテルや事務所といった建物の部屋の中であったり、どこか人目につかないところでの行為は「痴漢」には該当しないことになります。しかし、密室の中でも抵抗が著しく困難な状態で猥褻行為が行われれば、強制わいせつ罪に該当することになります。
●痴漢行為が暴行や脅迫を伴う場合は、強制わいせつ罪の適用もあります。ここでの暴行・脅迫は、一般の意味とは若干異なり、抵抗を抑圧するほどでなくても、抵抗を著しく困難な状態にすることを言います。例えば、満員電車の中など、被害者が逃れることのできない状況におかれていることに乗じて下着の中に手を入れるようなケースでは、強制わいせつ罪が適用されます。

行政書士篠原司樹法務事務所


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